〝見積書〟のお話。
オーナー様のもとには、少額のものから高額のものまで、
日々様々な見積書が届くのではないでしょうか。
□ 入居中であれば、トラブルによる小修繕。
□ 入居者退去に伴うリフォーム費用。
□ 大きいものでは、新築工事費用。
私もそういった見積書をご提案する機会が少なくありません。
今、オーナー様の希望が〝少しでも安く!〟〝もっと安く!〟〝更に安く!〟
になってきている、と肌で感じています。
これだけ賃料の下落が続いている以上、
収入と支出のバランスを考えてのこと、とと思います。
しかし、この 「 安い見積 」 が、危険な場合もあること、をご理解いただきたい。
例えば、新築計画の場合、同じ敷地で、
A社は坪50万円でできると言い、B社は坪100万円でできると言う状況において、
坪50万円だから安いのでしょうか?
坪50万円だからA社に施工をお願いするべきでしょうか?
これは、根本的に間違った話で、
費用をかけるものに対する〝目的〟があまりにも抜け落ちている。
今回私は、使用する材料や設備のグレードが違うから、
などという基本的なところをお話しするつもりは毛頭ありません。
考えるべき大きなポイントは3つ。
まず第一に、かける費用に対して、どの程度の期間を軸に考えているのか。
お考えになられたことはありますでしょうか?
ご自身やご家族のライフプランに照らし合わせた時に、何年持たせたいのか。
5年なのか、10年なのか、25年なのか、もっと長くて50年なのか。
その期間が長ければ長いほど、安い金額は危険ではないでしょうか?
例えるならば、〝電球〟。
「白熱電球」がよいのか、「LEDランプ」がよいのか。
〝目的〟によって金額も変わってくるはずです。
期間が短ければ〝悪〟ということではなく、
〝期間そのもの〟を考え、そのことを見積業者伝えること。
次に、賃貸経営とは、収益を得る事業。
決して建築会社や不動産屋を儲けさせるものではありません。そのためには、
事前にそのエリアでどの程度の賃料を得ることができるかを把握しなければいけません。
10万円とれるエリアなのか、5万円のエリアなのか。
例えば、旅行をした際に泊まるホテル。
高い金額を払ったにもかかわらず、雰囲気が悪くがっかりした経験がありませんか?
【 提供する側 】 かける費用 = 商品
【 消費する側 】 商品の対価 = 賃料
つまり、かける費用 = 賃料
この考え方に基づくと、かける費用とは、
〝オーナー様の希望する賃料〟と
〝入居者の希望する賃料〟を調整するための費用、であることがわかります。
残念ながら、多くの賃貸住宅が、「 = (イコール) 」 で結ばれておらず、
費用を〝 かけすぎ〟ていたり、逆に〝 かけなさ過ぎ〟ていたりしている。
市場調査をした上で、かける費用を「 = (イコール)」 にする。
と考えてみると、
見積の金額のみでの判断では危険ではないでしょうか?
最後に、予算。ここが最も重要であるかもしれません。
多くの場合、上記のような打合せはなく、
オーナー様と見積り業者双方は、予算のみに焦点をあてています。
その結果オーナー様は、予算を業者に対して明かすことがなくなり、
予算内であった見積書に対してまで、値下げ交渉をする。
業者側もその対策として、根拠のない値下げ交渉が入ることを事前に考え、
削ることを前提とした無駄な工事を含んだ金額を提示する。
その結果が、適正価格の不透明さを生み、混乱を招いているのです。
本来のあるべき姿とは何なのか。
対話の重要性。
まずは、〝予算ありき〟ではあるにせよ、どのような目的を持ち、
それに対してきちんと調査をした上で、打ち合わせを行う。
私は、恥ずかしくなるくらい当たり前のことを書いています。
しかし、このような流れで見積から施工になっているものはほとんどなく、
「 あそこは坪40万円で建てたらしい 」
「 いやいや、あそこは35万円だったらしい 」
「いやぁ、800万円も値引きしてもらったよ」
などと意味があるとは思えない光景が拡がっているのです。
各オーナー様それぞれにある適正価格。
それを対話によって探るものが〝見積〟だと思います。
次回は、私が現在進行形で行っている〝新築計画の見積〟についてお話します。
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